COLUMN
“コラム”
ローカル線プロレス

ローカル線プロレス

ローカル線プロレス!

 

走行中の鉄道車両内でプロレスの試合をするというイベントを201574日、おそらく間違いなく世界で初めて行い、以降5回継続して開催しています。舞台は置賜地方の22町を走るフラワー長井線。限定の観戦チケットを購入頂いた“乗客”が乗り合わせた貸切車両のなかに、みちのくプロレス所属選手を中心としたプロレスラーが次々に入場してきて多人数参加形式の試合(バトルロイヤル)を行う、という内容です。

 

立ち上げのきっかけは、ある先輩との取り留めのない雑談。『DDTプロレスリング』というプロレス団体が、いわゆる体育館にリングを設営して試合を観せる通常のプロレス興行のほかに、本屋・キャンプ場・工場等での“路上プロレス”を展開している状況を踏まえて、この先輩が言ったのです。

「………でも、電車ン中はまだやってないよなー。おい、みちのくプロレスとフラワー長井線に提案しろ!」 

まさに“無茶ブリ”です。実現出来るのであればそれは面白くなるに違いないと感じつつも、そのときは鉄道会社が許可してくれるとはとても思えませんでした。

 

この無茶ブリ構想を、当時長井市の地域おこし協力隊を務めていた渋谷くんにダメで元々という思いで話して約1ヶ月、渋谷くんから電話がかかってきました。

「山形鉄道(フラワー長井線運営会社)から許可取れました!」

「えぇ??」話した本人が耳を疑いましたが、とにかく企画が動き始めました。

 

「限定50席のチケットを販売予定」とネットで流したところ、全国から問い合わせが殺到。希望者が50人を軽く上回る勢いだったため、抽選で購入してもらうことに。当日は、乗客に加えて、全国紙や一般の週刊誌まで20社を超える取材陣も乗り込んだなかで10人のプロレスラーが闘い、のどかな田園を走るローカル線の車内がまさに熱狂的な空間となりました。列車内での試合の午後、長井駅前にリングを設置しての屋外興行も行って、沿線地域の方も数多く観戦に集まってくれました。

 

プロレスファンやマスコミの反応は想定できていたことですが、意外に感じたのが準備を進めるなかでの地域の方の声でした。

「こんな話題になることを、長井線に持ち込んでくれてありがとう!」

自分は沿線下ではない山形市で生活してきたので、存在は知っていたもののそれまでフラワー長井線に乗ったことはなく、イベントに向けて地域の方たちと関わるなかで路線の歴史や現在抱えている問題を少しずつ理解していきました。

 

少子高齢化・人口減少、車社会、沿線22町によって異なる路線の重要度。産業構造・雇用とも絡み合い、地方都市の公共交通の維持が困難な時代であること。

問題がそう簡単には解決を図れない難しさをもっていることを認識するのと並行して、ある考えからこのイベントの継続開催の思いを強くしました。

 

それは、問題の解決や改善のためには、沿線地域で生活する人たちがフラワー長井線に関心を持つことがまず必要であり、『ローカル線プロレス』は、肩肘を張った政治運動としてではなく、楽しみながら自然に関心を持つ機会になり得る、という考えでした。

 

以後毎年、関心の高まりを実感しながらこれまで5回開催してきました。

この2020年は新型コロナウイルスの影響で開催は難しそうですが、また必ず、開催したいと思っています。

 

ローカル線プロレス実行委員会 喜早    洋介

喜早 洋介さん(きそう ようすけ)

東北芸術工科大学卒。ローカル線プロレス実行委員長、びだびだ山形主催。 芸術やプロレスのみならず、蕎麦や伝統文化にも造詣が深い。

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